ゆったりとした傾斜の丘を上るにつれて、ヒラヒラ落ちてくる桜の花びらが多くなった。



「あ。」


女の子がいた。


お弁当を膝にのせ、桜を見上げて食べている。



もう少し上ると、女の子も気づいたらしい。


こっちを見て固まった。



それはそうだよね、髪の色が違うし、顔のつくりも違う。


自分と同じ制服を着ているのに、知らない顔。


初対面の人はみんなそういう感想をもったらしい。
(あとから聞いた話だ。)