「いや、別に。」


「うん、なら良かった。」


言って笑うと、また香珠美は前に向き直った。




話しかけようとしたけど、先生が入ってきたから止めた。


「じゃあ、授業始めます。
教科書開いて。」


何度も聞いて覚えた最初の文句を聞きながら、俺は外の丘を眺めていた。