コインランドリーに行けないという部分については、まだ問題が残っていました。
「この間、白石さんが最後に、なぜ知りたいのかと尋ねたでしょう。あれから考えた」
ああ、そういえば。
私は仕事に戻らなくてはならなかったので、続きを言うことなく立ち去る必要があって、知りたいと引き留めた黒崎さんに問いかけたんでしたっけ。
「私は……いろいろなことを知ることが好きな性格で……、単純になぜと思ったことは知りたくなる。洗濯機のカタログをいろいろと取り寄せ、印を打ったのも、学生のためではなく……自分が洗濯機のことを知るのが楽しかっただけなのかもしれない」
黒崎さんは頭を下げたまま話を続けます。
「学生の相談を受け、学生の問題を解決するはずの立場でありながら……。学生のためということが、どこか抜け落ちていたのかもしれない……」
いつもより低い声。苦しみながら本心を吐き出しているように聞こえます。
「あの、黒崎さん、座ってください……」
声をかけても動かない。
「えーっと、座っていただいたほうが、話がしやすいので、座ってくださいませんか?」
「あ、すまない、その、そうだ。自分のことばかりで……」
はっとして、黒崎さんはソファに腰かけました。
……頭がより深く垂れ下がっています。
あああ、別に責めるつもりではなかったのですが。
「大学は……学校法人が運営している」
ん?運営?
「学校法人は非営利の組織だ……。ゆえに、大学運営は、運営者のために、儲けるために行うものではない。学生のために運営していくべきもので」
えっと、ずいぶん話が大きくなってきました。
「いくら、1年目にひどい目にあったからと、私は……、学生からの相談に真摯に向き合っていたのか。学生が過ごしやすい、充実したキャンパスライフを送るために、何か一つでも真剣になったのか……」
黒崎さんが下を向いたまま顔をあげません。
「あの、黒崎さん、えっと……」
どう声をかけたものか考えていると、1限開始のチャイムが聞こえてきた。
黒崎さんがチャイムの音で顔を上げる。
うん。笑いましょう。笑いかけます。
「分かりました。黒崎さんが、知りたいだけではなく、学生のために自分ができることがあるのではないかという気持ちで、私に教えてほしいと言っているのがよく伝わりました」
「この間、白石さんが最後に、なぜ知りたいのかと尋ねたでしょう。あれから考えた」
ああ、そういえば。
私は仕事に戻らなくてはならなかったので、続きを言うことなく立ち去る必要があって、知りたいと引き留めた黒崎さんに問いかけたんでしたっけ。
「私は……いろいろなことを知ることが好きな性格で……、単純になぜと思ったことは知りたくなる。洗濯機のカタログをいろいろと取り寄せ、印を打ったのも、学生のためではなく……自分が洗濯機のことを知るのが楽しかっただけなのかもしれない」
黒崎さんは頭を下げたまま話を続けます。
「学生の相談を受け、学生の問題を解決するはずの立場でありながら……。学生のためということが、どこか抜け落ちていたのかもしれない……」
いつもより低い声。苦しみながら本心を吐き出しているように聞こえます。
「あの、黒崎さん、座ってください……」
声をかけても動かない。
「えーっと、座っていただいたほうが、話がしやすいので、座ってくださいませんか?」
「あ、すまない、その、そうだ。自分のことばかりで……」
はっとして、黒崎さんはソファに腰かけました。
……頭がより深く垂れ下がっています。
あああ、別に責めるつもりではなかったのですが。
「大学は……学校法人が運営している」
ん?運営?
「学校法人は非営利の組織だ……。ゆえに、大学運営は、運営者のために、儲けるために行うものではない。学生のために運営していくべきもので」
えっと、ずいぶん話が大きくなってきました。
「いくら、1年目にひどい目にあったからと、私は……、学生からの相談に真摯に向き合っていたのか。学生が過ごしやすい、充実したキャンパスライフを送るために、何か一つでも真剣になったのか……」
黒崎さんが下を向いたまま顔をあげません。
「あの、黒崎さん、えっと……」
どう声をかけたものか考えていると、1限開始のチャイムが聞こえてきた。
黒崎さんがチャイムの音で顔を上げる。
うん。笑いましょう。笑いかけます。
「分かりました。黒崎さんが、知りたいだけではなく、学生のために自分ができることがあるのではないかという気持ちで、私に教えてほしいと言っているのがよく伝わりました」


