食堂の白井さんとこじらせ御曹司

「疲れる……?背が高い相手だと、見上げていないといけないから首が疲れるとか……?」
 和臣さんの言葉に、再び菜々さんがぶっと噴き出した。
「そうですね、ある意味そうかもしれません」
 私がそう言うと、菜々さんが少しだけ腰を浮かせた。
「結梨絵ちゃん、どんな基準なの、それっ!」

「あ、いえ。物理的というか肉体的に疲れる話ではなくて……。首が疲れるよねって気が付いて、目線を合わせてくれたら疲れないですよね?いつも見上げていることを当たり前だと思って、首が疲れることに気が付いてくれない相手といたら、精神的にきついと思うんです」
 菜々さんが椅子の背に体重をかけました。
「そういうことかぁー。なるほど。確かに、自己中で相手のこと考えない男は疲れるわ」
「そろそろ第二弾選んでくるか?」
 いつの間にかテーブルの上の缶詰がほとんど空になっていた。
 ここは飲み物以外は注文できないので、食べるものがなくなったら自分で取ってくるしかないわけです。
「結梨絵さん、今度は何が食べたいですか?」
 立ち上がると、隣に和臣さんが立っていました。
「缶のラベル、読み上げますよ」
「ありがとうございます。でも、目の高さにあるものならば読めるので、大丈夫ですよ」
 私に付き合わせてしまったら、和臣さんが好きなものが選べなくなってしまいますから。
 先ほどサンマの並んでいた棚の裏側を見てみることにします。
 サンマの缶詰が並んでいた棚は、客席側の周りにある棚だった。その裏には図書館に並ぶ本棚のように3つの棚が並んでいる。通路の幅は図書館よりも少し狭いが、しゃがんで下のほうを見るには十分の幅があります。
 棚の裏に回ると、後ろに和臣さんがついてきました。
「あの、本当に大丈夫ですから。和臣さんは和臣さんの好きなもの探してきてください」
 なんで、コンタクト忘れてきちゃったんだろう。気を使わせてしまって申し訳ないです。
「あ、ごめん。困らせるつもりじゃ……」
 謝られてしまいました。私が、困った顔をしたから?
「僕は、相手のことを考えているつもりでも、どうも相手を怒らせてしまうことがあるようで……」
 声に張りがない。とてもショックを受けているようだ。
「いえ、困ってもいませんし、怒ってもいません。むしろ、私がコンタクトレンズを忘れたせいで和臣さんに気を使わせてしまって、それで、申し訳なくて……」