食堂の白井さんとこじらせ御曹司

 大学への申し送りは、これも、なしで。

 あれ?今日は大学への申し送りは特にないことになりました。
 えーっと、でしたら、学生相談室の相談用紙を入れる箱に何も入れなくていいでしょうか?
 ……今日は、勢いに任せて学生相談室に乗り込んでしまいましたので、ちょっと偶然でも必然でも、黒崎さんと顔を合わせたくはありません。
 ちょうどよかったです。
 ええ、偶然、今日は、申し送りがなかったのです。
 故意に何も書かなかったわけではないのです。

 金曜日、今日は帰りに飲み会に参加する予定です。
 行きはいつものようにジーパンにTシャツ。
 リュックに涼しげなレモン色に濃紺のラインの入ったカットソー。それから皺にならない化繊のワイドパンツと化粧ポーチと小さなハンドバックをリュックに詰め込みます。
 仕事が終わったら着替えて、菜々さんにメイクしてもらって。あ、メイクしてもらってばかりでお礼もなしというのも失礼ですよね?
 菜々さんは何をもらうと喜んでくれるのでしょう?
 私が菜々さんのことで知っていることはほんの少しです。
 いつも綺麗でおしゃれ。持ち物は……。
 ふと自分の化粧ポーチを見ます。
 そうです。あまり大きなものや高いものだともらうほうも邪魔だったり気を使ったりもするかもしれませんから……。
 机の上に置いた小箱ん蓋を開けて、その中から菜々さんに似合いそうな色を選びます。
 私とおそろいのようになってしまって迷惑かな?

「おや、白井ちゃん、今日は早いね」
「チーフ、おはようございます!今日も残業できないので、仕事の前に30分だけ返信をかこうかと思って……おもいまして」
「頑張るね。無理はするんじゃないよ?ああ、それから、これでオッケーだから、はっといてもらえるかい?」
 チーフに渡されたものは、アルバイト募集の手書きにで書いた紙です。
 さっそく、昨日帰ってから入れられていたご意見を確認します。2つだけでした。

ご意見
【冷凍たこ焼きはやだなぁ。たこ焼きの屋を呼んでくれ!】
 え?屋台を呼ぶ?
 ……まぁ、屋台のたこ焼きはおいしいですけど。
 冷凍たこ焼きとは比べ物にならない……というか、冷凍たこ焼きは冷凍たこ焼きでおいしいんですけど、でも「別の食べ物」という感じは確かもします。

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