食堂の白井さんとこじらせ御曹司

「ドアに引っ掛けると洗濯が干せるものがあれば、ドアを利用して洗濯が干せます」
 そういう場合はドアを活用するしかないのです。キッチンと部屋を仕切るドアがある物件ならいいですね。
 もしなかったとしてもトイレのドアくらいはあるはずです。クローゼットもあるでしょうか。
「荒業になりますが、クローゼットのドアにこれを引っ掛け、ドアにも引っ掛け、その二つに洗濯ロープを渡すという手もあります。建付けの問題で重たいものを引っ掛けすぎると壊れてしまう場合もあるのでどのようなタイプのものか確認が必要ですが。あと、配置によっては生活の邪魔になるのでむつかしいですね」
 一人暮らしであれば、こまめに洗濯すれば一日の洗濯物の量はそれほど多くはないだろう。
「ここにはないので、あとは室内用物干しの、小さなものを探すのも手ですね。キッチンにおいて置き、キッチンを使うときは部屋に移動するというように工夫すれば生活空間も確保しつつ干しておけると思います」
「あ、ああ、そうか。うん、ありがとう」
 黒崎さんは真剣に洗濯干のグッズを見ていた。
「これ、すごいなぁ」
 横に並べて洗濯を干した後、取り込んだあとはハンガーが下に垂れ下がりスペースが5分の1となってそのままクローゼットに入れられるグッズを手にしています。
「これなら、洗濯を取り込んでそのままクローゼットにしまえるし、クローゼットのスペースも節約になる。こんなすごいアイデアグッズがほんとうに百円なのか?」
「黒崎さん、洗濯するんですか?」
 なんとなく、生活感がないから、家事なんてしたことないと思ってたのですが。
「まぁ、その、一人暮らしをしているから、時々は……」
「え?一人暮らしなのに、時々なんですか?」
 首を傾げる。
「ハウスキーパーが家事はしてくれるから」
 ハウスキーパー……?!
 いや、まじめに、ボンボン様でしたか。
 あれ?
「大学職員ってそこまで給料よくないですよね?それで一人暮らししてハウスキーパー雇って、お金大丈夫ですか?」
「え?知らないの?」
 もしかして、大学職員寮には掃除洗濯食事の世話をしてくれる寮母さんみたいな人がいるんでしょうか?
「知らないって、何がです?」
 黒崎さんがほっとした顔をする。
「いや。うん、ちょっと警戒しすぎてたかもしれない。すべての人間が噂に興味があるわけじゃないもんな……」
 噂?