「あの相談から読み取れる情報はいくつもあります」
眼鏡を手で押し上げてから、手のひらを黒崎さんに向けた。
親指を折り曲げる。
「乾かないということは、洗うことはできる。つまり洗濯機は持っているということ」
黒崎さんは何をいまさらという顔をする。
「そうだ。だから買い替えたらどうかと」
「干す場所がないということはどういうことか。日の当たらない場所に住んでいても干す場所はあるはずです。それなのに干す場所がない。洗濯ものが多いわけではなければ、ワンルームマンションに住んでいても干す場所位ありますよね?」
「そうだろうな。学生用ワンルームマンションでも2間、つまり3m程度のベランダが付いていることは多いはずだからな」
人差し指を折り曲げる。
「つまりは、何らかの事情でそのベランダに洗濯が干せない、1階や2階の部屋で下着泥棒などの被害が多いといった理由が考えられます。もしくは、排気ガスなど外に干すことで洗濯物が汚れるか、室内に干す必要があるということが分かります」
黒崎さんがまた何か言いたそうです。乾燥機を使えばいいとまた言う気なのでしょうか。
「室内に干すにしても、ある程度の広さがあれば室内干し用の鉄棒みたいな形のものを購入すれば干せます」
「ああ、そういえば、室内干し用の折りたたみ式のものをホームセンターで見たことがあるような」
ホームセンターには行ったことがあるのですか。
「そうか、乾燥機の前にそれを進めればよかったということか?」
黒崎さん、小さくうなづく。
「いいえ、違いますよ」
指の3つ目を折りたたむ。
「室内干し用物干しは広げて使えば畳2畳はスペースが必要になります。乾くまで広げっぱなし、それが毎日続くとしたらどうです?」
黒崎さんが黙り込んだ。
「使ってない部屋に置いておけばいいんじゃないか?なんて言いませんよね?」
「ああ、分かった。というか、そこまで言われなければ分からなかった。相談者は一人暮らしの女性で1Kか1DKほどの広さのアパートに住んでいる可能性が高いということだな」
……。分かったとは言っていますが……。
たぶん、その先のことは分かってないのではないでしょうか……。
ちょっとため息が漏れます。
仕方がないですね。生活レベルが違うから想像力が働かないというよりも、単に想像力が働かない種類の人間なのでしょう……。
眼鏡を手で押し上げてから、手のひらを黒崎さんに向けた。
親指を折り曲げる。
「乾かないということは、洗うことはできる。つまり洗濯機は持っているということ」
黒崎さんは何をいまさらという顔をする。
「そうだ。だから買い替えたらどうかと」
「干す場所がないということはどういうことか。日の当たらない場所に住んでいても干す場所はあるはずです。それなのに干す場所がない。洗濯ものが多いわけではなければ、ワンルームマンションに住んでいても干す場所位ありますよね?」
「そうだろうな。学生用ワンルームマンションでも2間、つまり3m程度のベランダが付いていることは多いはずだからな」
人差し指を折り曲げる。
「つまりは、何らかの事情でそのベランダに洗濯が干せない、1階や2階の部屋で下着泥棒などの被害が多いといった理由が考えられます。もしくは、排気ガスなど外に干すことで洗濯物が汚れるか、室内に干す必要があるということが分かります」
黒崎さんがまた何か言いたそうです。乾燥機を使えばいいとまた言う気なのでしょうか。
「室内に干すにしても、ある程度の広さがあれば室内干し用の鉄棒みたいな形のものを購入すれば干せます」
「ああ、そういえば、室内干し用の折りたたみ式のものをホームセンターで見たことがあるような」
ホームセンターには行ったことがあるのですか。
「そうか、乾燥機の前にそれを進めればよかったということか?」
黒崎さん、小さくうなづく。
「いいえ、違いますよ」
指の3つ目を折りたたむ。
「室内干し用物干しは広げて使えば畳2畳はスペースが必要になります。乾くまで広げっぱなし、それが毎日続くとしたらどうです?」
黒崎さんが黙り込んだ。
「使ってない部屋に置いておけばいいんじゃないか?なんて言いませんよね?」
「ああ、分かった。というか、そこまで言われなければ分からなかった。相談者は一人暮らしの女性で1Kか1DKほどの広さのアパートに住んでいる可能性が高いということだな」
……。分かったとは言っていますが……。
たぶん、その先のことは分かってないのではないでしょうか……。
ちょっとため息が漏れます。
仕方がないですね。生活レベルが違うから想像力が働かないというよりも、単に想像力が働かない種類の人間なのでしょう……。


