食堂の白井さんとこじらせ御曹司

 昨日食べたものを思い出していると、そのままずばりの単語が聞こえてきました。
 しかも、この声!
 目の前に座っていたあの人の声です!
 振り返ると、背の高い眼鏡をかけたスーツ姿のイケメンが立っていた。
「あ」
 まさか、このイケメンさんが昨日の人?
 眼鏡、かけてなかったけど、昨日ははずしていただけでしょうか?
 いくら顔がぼんやりしか見えないとは言っても、眼鏡をかけているかかけてないかは分かりますからね。
 髪型も、違うようです。
「何か、用ですか?」
 顔をじろじろ見ていたら、スマホから顔をはなして話しかけられました。
 冷たい声。
 そりゃ、いくらぶしつけに顔をじろじろ見ちゃったからって……。氷のような声です。
「ご、ごめんなさい、あ、えーっと。失礼します」
 違う。違います。
 声は似ていますけど、別人です。眼鏡も、前髪も違うもの。
 踵を返して廊下を速足で歩いて立ち去ります。
 今の人は、クールビューティーな顔。
 銀縁の眼鏡の奥には切れ長の瞳。前髪は後ろに流していて賢そうな眉と額が見えてた。
 それから……って、私ってば、そこまで相手の顔をしっかり観察していたってことでしょうか?
 昨日の人かもしれないと思ったからって、やっぱり失礼でした。
 って、そもそも、昨日の人かもと思ったからって、なぜそこまでじっと見てしまったのでしょう……。
 別に、もう一度会いたいとか、そんなこと思ってたわけじゃないんんですけど。

■
ご意見
【コメヤーーーーーっ!白井さんが、コメヤを知らなかった件!】
【赤飯……どこ行った】
【掲示板見てて思ったんだが、甘納豆をカレーに入れてモーニングにすれば、全部の問題に答えられるな】
【ライバルが順調そうで、私もやる気が出ますよ】

 なんだか、一週間が長く感じます。
 まだ木曜日。
 ああそうでした。これがあるから、長い気がするのですね……。
 日課になりつつある、帰りのご意見用紙受け渡し。
「大丈夫?真面目に毎日答えることはないからね?」
「大丈夫です。無理な日はやりませんから」
 と、チーフに答えたものの。
 無理な日ってなんだろう?特に毎日予定もないし、30分ほどの残業であればどうってことはありません。
 って、ダメです!
 今日はスーパーの特売日!これははずせません!