──『黒白の書』って?
 ──伝説の暴君、雷帝に仕えた魔法使いが残した邪悪な魔法書さ。実は、二百年もの間、王宮の地下深くに封印されていたんだそうだ。
 ──ただの伝説じゃなかったのか。本当にあったんだ。
 ──いったい誰がそんな大それたものを盗んだのかしら?
 ──わからない。だが、『黒白の書』が盗まれた夜、亡き先王の二番目の御子が姿をくらませたそうだ。
 ──二番目の御子って、まさか、姫王の腹違いの弟、ディアナム王子のこと?