ノイズのなかで、彼を待って。

会話を遡れば、最近恋人の間でよく使われているという動物のスタンプを送りあった履歴が見える。

それとは裏腹に、直近の会話は驚くほど質素で、日付が変わってから、こちらから一通『ついたよ』とだけ送られていた。

その時刻はやっぱり朝の八時半頃だった。

既読さえつかないその文を確認して、私は小さな黒い鞄のサブポケットに仕舞っていたイヤホンを取り出した。

洋楽を聴くことにした。

静かな曲が聴きたかったので、イントロが激しい曲は直ぐに飛ばした。

私は足が痺れた気がして、カフェへ足を向かわせた。