小林の顔から
自分の顔を離すと

研究室から出てきた西九条と目が合った

怖い目で私の顔を睨んでいる

あんなとこを見られて怒っているわけ?
西九条が悪いのに
人のせいにしないでよ!

私は西九条に背を向けると
小林の手を握って歩き出した

「小西さん」

キスはしていない
直前でやめた

だって
好きな人とキスはするものだ

こんな真面目くさった男としても
詰まらないし

私の唇が勿体ない