咲季が「てかやばいのは私だよ〜」
なんて言いながらノートを確認しだす。

私も見直さないと…
と思いながら、なぜか視線が、彼を探してしまっていた。


まだ男子グループの輪の中にいる須藤くんを目が捉えると、
予想外にバチッと合う視線。



「…!」



驚いてすぐに逸してしまったけれど、
視界の端で彼が動くのがわかった。



「平野って、木下と仲いいんだ」

彼の声に驚いて顔を上げると、私と咲季がいる机までやってきていた。



「え…」

「あ、おはよ須藤」



あれ、咲季と須藤くんって知り合いなんだ?



「てか平野って英語得意?今日のテストの山どのへん?」

「え、得意ってわけじゃ…」

「ちょっとあんたなんで私には聞かないのよ」

「いや、木下は俺よりも英語の成績下なのは1年のときに知ってる」

「うざ〜!」



1年の時…そっか、2人は1年のときクラス一緒だったんだ。



「てか須藤と夕って接点あったっけ?」

今度は咲季が首を傾げる。



「あ、昨日…

私が説明しかけると



「秘密!」

突然遮る須藤くん。

ね?と目配せされて、なにも言えなくなった。



「え〜なにそれ!なんか怪しい2人〜」

咲季に肘でつつかれ、「いや、そんなんじゃないって」と焦る私。



肝心の須藤くんはそんな私達のやりとりを楽しそうに見ている。