「あ、おはよう平野!」

「え、あ…、おはよう…!」


教室に入る寸前。
肩に置かれた手に驚く。


昨日の彼、須藤夏輝くんに、おはようと微笑まれて、

忘れようと封じた記憶は、呆気なく戻ってきた。




教室に入り席につくと、彼の声だけなぜか耳に入ってきてしまう。



「おっす、ナツ」

「っす〜、てか今日英語小テストだっけ?やばい、まじでなんもしてないんだけど」


教室に入ってすぐに彼は男子のグループに話しかけられ、会話に混じっていく。

同じサッカー部仲間だろうか?



「おはよ〜夕」

「…あ、おはよ咲季」

「どうしたの?なんかぼーっとしてない?」

「ん、いやそんなことないよ、ほらなんか英語のテスト不安で…」

「夕なら大丈夫でしょ」

「だといいんだけど…」



咲季に話しかけられ、やっといつもの自分のリズムが戻ってきた。

ほんと、朝から調子狂う…