「……今日も何も分からなかったな……」

ミステリー小説家兼特殊捜査員のフィオナ・カモミールは、町を歩きながら呟いた。

フィオナは、黒バラ事件について独自で調査をしている。しかし、何も進展がないままだった。

その時、フィオナの携帯が音楽を鳴らす。フィオナは画面を確認すると、電話に出た。

「……もしもし」

「もしもし、フィオナ?悪いけど……捜査本部に来て欲しい」

特殊捜査チームのリーダーであるシオン・アカツキの声が、フィオナの耳に届く。

「……分かりました」

フィオナは、そう返すと捜査本部に向かって歩き始めた。



フィオナは捜査本部に着くと、ドアをノックして部屋へと入った。

部屋では、特殊捜査員であるサルビア・ホープが床に座り込んでいる。

サルビアの顔は真っ青で、精神科医のレイモンド・アルストロメリアはサルビアの背中を擦り、レティシア・エーデルワイスは「大丈夫?」とサルビアを心配そうに見つめていた。

「……これは、どういうことですか?」

その様子を無表情で見ていたフィオナが首を傾げると、近くにいた大学生のエヴァン・カランコエは「これ……」と新聞を見せた。

孤児院を出る直前の子どもたちが行方不明となり、その子どもたちが惨殺された状態で見つかった……という内容だ。