(すっげぇ久々に話せた・・・)
さっきの授業の小テストの一連の流れの余韻に浸りながら改めてそう思う。
俺(真島千景)に声を掛けられたビクッとする姿も、丁寧に書かれた数字も、俯いたままの控えめな言葉も、とても久々で浮かれている。
多分顔には出ていないだろうが。
俺の視線の先にいるのは糸瀬一華。俺の幼なじみ。
平均よりも低い身長で華奢。
大きな丸い目。
透明感のある肌。
髪はサラサラで女子特有のいい匂いがする。
おまけに庇護欲がそそられる危うさもある。
基本誰に対しても控えてめな態度。
一華の魅力なんていくらでもあげられる。
既にファンクラブがあるらしい。
入る気はない。
昔は「ちーくん」と呼んでくれていたが今や「真島くん」と呼ばれる始末。
周りの目を気にして呼び方がコロコロ変わった俺が言えることではないが、出来ることならまた「ちーくん」と呼んで欲しい。
それだけで1日中頑張れる気がする。



