そんな疑問も一華の微かな笑顔で吹き飛んだ。

嬉しそうに俺があげたペットボトルを見ている。


「アップルティーなんて出てたんだね」
「前自動販売機にあったから買ってみた」
「私がここの紅茶好きって知ってたの?」
「いや偶々」
「そうなんだ」


俺があげたものは一華がよく飲んでいる紅茶の期間限定茶だ。

事前にリサーチしておいてよかった。『前から観察していた』とは口が裂けても言えないが。


「・・・そういうのは好きな人にした方がいいんじゃない?」
「それ余計なお世話な」
「ご、ごめん・・・」


その好きな人はお前なんだよ。気づく気配なし、か。

一華なりに考えてくれたみたいだがそれ地味に傷つくんだよな。

わざわざ好きな人がいるかの確認なんかてくるもんだからてっきり意識され始めたかと思ったが、勘違いだったか。

でも俺がはにかんだとき、確かに一華は頬を染めた。

羞恥心とはまた違う理由で、だ。