「あー愚痴ってたらお腹すいたー購買行こー!」
「なぁ」


トイレから出てきたところをすかさず捕まえた。


「え、千景くん!?どうしたの?」
「糸瀬の何を知ってんの?」
「・・・・・へっ?あ、ああ、会話聞こえてた?でもね、糸瀬さんが悪いの。あのね、聞いて?」


俺の指摘を受け顔を青ざめたが、それでも一華を悪者に仕立てあげたいらしい。

その様子がみっともなくて、溜め息が漏れる。

そして半田に軽蔑するような視線を向けだ。


「一華はなんも悪くねぇよ。お前らみたいなのがチラつくせいであいつは怯えてんだよ」
「『一華』・・・?え?2人ってそんなに仲良いの?嘘でしょ?」


自分でもびっくりするくらいの低い声が出た。

弁解が意味ないと察した半田の顔からはもはや色が消えていた。


「俺が一方的に、だけどな」
「ちょっ・・・それって!」
「だから一華には手ぇ出すなよ?あとこれ、広めてくれて構わないから」


半田の制止も聞かず歩を進めた。

この後どう広まったのかは知らない。

だが数日後にまた毛利に呼び出さられ、前回とは打って変わって「よくやった」と上から目線に褒められた。