一瞬時が止まったような錯覚が起きた。

ちーくんの目線の先には古典のワーク。

ちーくんが学校で私の近くに来たこと、私に心配するような声を掛けてきたこと、そして何よりその声が心做しか震えていたこと。
そこにとても驚いた。


(重くないか気にしてるのかな・・・?)


よりによってなんで私が体調が悪い今日なんだろう。

今の私には周りの目を気にしながら立ち回れるほどの余裕はない。


「だだ、大丈夫だよ。は、半分は飛奈ちゃんに持ってもらう、から」
「や、でも体調」


普通に装い作り笑いをしてもすぐに体調が悪いことを見抜かれた。


「・・・よく気づいたね」
「そこまで調子悪そうだとさすがに気づく」


(そんなに私、顔に出てたんだ・・・)


「そっか。でも、あとは帰るだけだから何とかなるよ」