混乱して違う方向に思考が進んでいるところをちーくんの一言で現実に引き戻された。


「こ、こんなところで何やってんの!?何を考えてるの!?」
「何とでもどーぞ。これでも浮かれてんだわ」


必死の叫びも軽く受け流される。

ダンス曲が大きいおかげで周りの人に会話が聞こえずに済んでよかった。

みんながみんなダンス部に夢中だ。

きっとここで何をやらかしても誰にも咎められることないだろう。

思い返せばこの時私も文化祭マジックにかかっていたのかもしれない。

この数日後また好き避けもどきが再発したのは言うまでもない。

少なくとも今後一切同じようなことは出来ない。

私はちーくんの袖をくいっと掴み、背伸びをしながらちーくんの頬に唇を当てた。

途端にちーくんの顔だけでなく、耳や首までが熱を帯びた。


「仕返し!」
「!?!?・・・?・・・・・・・・!?」


真っ赤になりながらも、恋人繋ぎは離さない。

ただ2人でこうしてここにいられる幸せを噛み締めた。

私達は幼なじみだけど、そうだけじゃない。



〈了〉