それだけはダメだ。

押し黙った俺を見て、もしや玉砕したのでは、と勝手に察したサッカー部連中はこれ以上踏み入ってくることはなかった。

とりあえずこの状況を一華に知らせておかないと。

急いでスマホを立ち上げてラインを送った。


〖松井が原因で付き合ってることがバレたっぽい〗
〖バレたらまずいんだろ?〗
〖だからせめて文化祭では関わらないでおこう〗


本当は一緒に文化祭を回ることが出来なくても、係の受け継ぎとかで一華と話がしたかった。

でも今そんなことをすれば、また誰かによって誇張された話が広められかねない。

松井はもしかしたら俺に腹いせをしているのかもしれない。

前一華を守らないとと思って結構ズケズケ言ったし。

こんなことになるなら後で謝っておけばよかった。

そんな俺の様子を見かねたのか和哉が気遣うようにコソッと耳のそばで言ってきた。


「なぁ千景・・・俺告っていいよな?何かお前大変そうだけど」
「とかなんとか言って急に怖気付いただけだろ」
「バレた?」
「あと耳元で喋んな。鳥肌が立つ」
「あ、それはスマン」