だがそれが間違いだった。

教室に入った瞬間、全員がこちらを振り向いた。

思わずたじろいだが、杉山を筆頭としたサッカー部たちがこちらにわらわらとやって来た。

その内の1人が上機嫌で俺の肩に腕を回す。


「ちっかげー!まじで良かったな!」
「はっ?何が」
「何がってそりゃ、糸瀬さんと付き合えたんだろ?」


笑顔のこいつらとは対照的に、俺は目を見開いて硬直してしまった。


「は・・・?どこでそれを?」
「ん?何か松井が2人が教室で仲良さげだったとか言ってたし、昨日2人で帰ってるとこ見たって人がちらほらいたからだけど・・もしかして違う?」
「・・・・・・・」


俺には否定も肯定もできない。

だって隠すべきか公表していいのかまだ一華に確認していない。

以前一華は俺と幼なじみとバレたら学校生活が終わると言っていた。

それが付き合ったとなったらどうなるだろうか。

班活動のときに半田が一華の悪口を言っていたように、他の連中が一華を責めることになるかもしれない。