それが聞こえたのか、さっき来たばかりの飛奈ちゃんが鼻で笑ってきた。

構わずちーくんの方をこっそり観察する。

動揺しまくっている私とは全然違い、何事もなかったように振舞っている。

澤くん達が騒いでいないところを見ると、まだ付き合ったとか両思いだったとかそういう話はしていないらしい。

あまりジッと見ていると不自然だし、昨日の熱がぶり返してきそう。

現に耳はもう真っ赤だろう。

目を逸らそうとした刹那、バッチリと目が合ってしまった。

まるで咳が隣になって久々に会話したときのようだ。

向こうも目を丸くして、ふいっと視線をずらした。

幸いこれに気づいたのはせいぜい飛奈ちゃんとゆめちゃん、あと澤くんぐらいだろう。

フーっと息を吐いて事なきを得た。

そして数時間後、飛奈ちゃんとゆめちゃんに何があったのか洗いざらい話す羽目になった。

告白して両思いで付き合った(?)ということだけ言うつもりが、気づけば色々話さなくちゃいけなくなっていた。

流されたやすいところを治したい。切実に。

あと2人がちーくんと距離を縮めることに関してあんなに押しが強かったのは両思いだということを知っていたらしい。

納得はしたが、私だけが気づいていなかったという事実に少し衝撃を受けた。