あのとき澤くんが来なければ確かめられたかもしれない。

本人は悪気がないけれど、少し恨めしく思う。

そんな悶々とした気持ちのまま学校へと向かった。

教室に着くと既に何人かは登校していて、そのうちの1人、ゆめちゃんが私の傍へと寄ってきた。

ちーくんと何かあったのかは人がいなくなったら放課後に話すと伝えてあるので触れられない。

まぁ昨日の質問で大体は察していると思うけど。

よっていつも通り他愛のない話をする。

いつも通り。

そう、ここまではいつも通りだ。

問題はここから。

きっと飛奈ちゃんは私が乗った電車の1本後のものに乗ってくるだろう。

そしてその次。

朝練を終えたちーくん達が集団でやってくる。

このとき私は平然を保てるだろうか。

どういう顔をしたらいいんだろう。

いや、直接関わるわけじゃないんだし、そんなに身構えなくていいことは分かっている。

それでも昨日の今日なのでどうしても妙に緊張感を覚えた。

落ち着くために息を吸おうとした時に教室のドアが開いてヒュっと喉から変な音がした。