「じゃま」
「はぁ!?お前だけいちかの前でいい顔すんな!」


男子たちは動揺しているがちーくんは何も無かったように平然としている。


「うるせぇ。ダセー事ばっかしてんじゃねーよ!」


そう言い切ると同時にちーくんはリーダー格の男子の肩を押して尻もちをつかせた。

その人は痛みに耐えきれなかったのか泣き出した。
他の人はどうしたらいいのかとおろおろし始める。

ちーくんはそれを見なかったことにして、私のランドセルを拾った。

パンパンと砂を落としてから私に渡してくれた。


「いっちゃん、これ」


ちーくんは私のことを「いっちゃん」と呼ぶ。

幼稚園が同じ子はみんなそうだ。

私がちーくんを「ちーくん」と呼ぶのと同じ理由だけど、何だか心が暖かくなった。

受け取ったランドセルを大事にギューっと抱きしめる。