寝ている空の横でコソコソとバイト準備を始める。
空の寝顔を見ていると、
私はこの子を産んでよかった、そう思えてくる。
みんなに反対されても、
ただ1人、あきだけは味方でいてくれた。
“海智とこの子は俺が責任持って育てる。
高校に行かなくて働いてもいい。
これから海智とこの子が笑って過ごせるように、俺が………”
空がお腹に宿ったことを知った時にあきが言ってくれた言葉。
まだ中学生だった私はその意味を深く知りもしないで、
自分でできる、なんて思ってたっけ…。
「空があきの子どもだったらよかった…。」
ポツリと呟いた自分の声に驚いた。
何考えてた?私。
やめやめ!
これ以上あきの人生を台無しにしちゃダメ。
「海智?」
「な、ななな何?!」
扉越しにあきの声が聞こえた。
「時間だろ?そろそろ。」
時計を見るともうそんな時間だったのかと驚く。
「あ、うん!行く…。」
扉を開けると、上下黒色のパーカーとスウェットを着たあきが待っていた。
「母さんが空のこと見てるって。」
「そ、そっか。またお礼を言わなきゃ。」
「別にいいんじゃね?帰ったら俺が空と遊ぶんだし。」
