脆姫は過去に生きる

「愛してます・・・」
痛みに負けないように深呼吸をして話しかける。

「弱気になるな。絶対に大丈夫だ。助かる。」
鉄王はまっすぐに前を向きながら馬を走らせる。

でも聞こえてくる馬の足音が、水がすでに高い位置まできていることを物語っていた。

「諦めたらだめだ。」
「私はあきらめません。」
「そうだ。一緒の未来を生きると決めただろう。」
「・・・あなたはこの国を守っていく。」
「咲菜・・・?」
「私の心はあなたと共に・・・永遠に・・・」
「ダメだ。弱気になるな。一緒に生きていくのだ。私と咲菜とお腹の子と共に。生きるのだ。」
鉄王は焦ったようにちらりと私の方を見た。

私は精一杯微笑み返す。