脆姫は過去に生きる

『ゴーッ』というけたたましい音が後ろを追ってくる。
池の水が襲ってきていることがすぐにわかった。

「・・・っ・・・」
その時強い胸の痛みに私は気を失いそうになる。
「どうしたっ!?」
馬を走らせる鉄王が私を気に掛ける。

今までの痛みとは違う。
胸の痛みはこの世界に来た時に感じた痛みと同じだった。

次の発作が来たら私の命が危険だと言っていた医軍の兵の言葉を思いだす。

どんどんと『ゴーッ』という音が近づく。
もうだめかもしれない。
そんな予感がよぎる。