「遊びって…どこに行くの?」
「そうだなあ。UFJとか?あとは、ノーチラスとか!」
「遊園地…人酔いしそう」
「大丈夫だって!お、俺が、い、い、いる…から」
「え?」
「なんでもない!」
最後のほうは声が小さくて聞こえなかった。まあ、特に大事なことはないと思う。
「そっか…じゃあ、新しく服とか買おうかな」
「お、おう」
「私の私服見るの初めてだっけ?」
「そう、だな」
…なんでそんなにタジタジしてるのかな。べつに、服買いに行くってだけなのに。あれ、ひょっとして一緒に買いに行かされると思ってる?
「大丈夫だよ。服を見るのは、当日のお楽しみ」
「…へ?」
「遊びに行くなんてご無沙汰だなあ。可愛い服買ってこなきゃ!」
「ああ…」
「いつ行く?」
「こ、この日はどう?」
「空いてる。よし、じゃあ駅前に9時くらいでいい?」
「わかった!」


帰り道、どんな服を買おうか悩んでいた。
「遊びに出かけるのは久しぶりだなあ」
可愛い服か、ちょっとクール系か。いやいや、久しぶりに出かけるなら、ワイドパンツとか履きたいかも。でも、いっぱい歩くなら邪魔になりそうだし…無難にパンツにしとこうかなあ。
「ただいまー」
「おかえり。今日は肉じゃがだぞ〜」
「やった!」
…そう言えば、引っ越した当日も肉じゃがを作ってくれたっけ。


「いただきまーす」
「どうだ?」
「うんっ、美味しい!」
「そうかそうか!よし、いっぱい食えよー」
登下校には案外時間がかかるから、17時に出たとしても19時近くにはなってしまう。バスに乗ってそれくらいだから、歩くとどれくらいかかるんだろう。
「優奈、勉強頑張ってるか?」
「まあそれなりには」
「第一志望が、蒼光大学か。有名私立だもんな、頑張ろうな」
ここで頑張れ、じゃなくて頑張ろう、と言ってくれるのが、私としては嬉しい。
「でも勉強もいいけど、遊びも大事にしろよ?高校生活なんて一度きりなんだからな」
「ああ、今度遊びに行くよ」
「おお!誰と行くんだ?…まさか、男の子か?」
「う、うん」
「そうか…ぜひ、よろしく頼むと言いたいな」
「は?」
「いや、なんでも」
そういうのじゃないって…。それに、ロンに対してそんな気持ちは湧かないと思うし。分かんないけど。
「『いのち短し恋せよ乙女』って言うだろ?」
「そうかなあ」
「お父さんも高校の時は、楽しかったなあ」