薄暗い日の渡り廊下に、
彼の名前が響いた。
「真仲勇介はいるか、ツラかせや」
一瞬、静まり返る昼の購買に集う生徒たち。

「ゆ、勇介ならここにいますよ」
怯えたクラスメートが、低い声の主を見上げながら答えた。

狩りの獲物を見つけたように微笑を浮かべたその男は、
「ほぉ、こいつが、真仲か。思ったよりな小せえな」

「なんだてめぇは?いきなり失礼なやつだな?俺になんか恨みでもあんのか?」
カレーパンを握る勇介は怪訝な顔つきでそう答えた。