ノートを開くと隼人が
高校に入った頃から
つけていた日記だった。

『8月7日(木)
今日からお袋の親戚の女の舞が
旅行で家に泊まりにきた。
関西弁でしゃべるし、正直ウザイ…』

ウザイって…
そんな風に隼人は思ってたんだ…

『8月8日(金)
お袋に明日は仕事だから
俺が観光案内をしてやれって言われた…
正直、観光案内なんてしたくないから
一人で好きなとこに行ってくればって
舞に言ったらじゃあ小樽に行くって
言ってたけど本当に
一人で大丈夫なんだろうか?』

『8月9日(土)
地元の駅に戻ってきたら迎えに行くから
電話しろって言ったのに8時になっても
かかってこなかった。
心配になって駅まで行ったら
ちょうど汽車が入ってきた。
舞が汽車から降りてきてホッとした。
舞は俺の姿を見て走ってきて
泣きながら怖かったって言ってた。』

『8月10日(日)
昨日は舞が軽くパニックみたいに
なってたから何があったか聞けなかった。
今朝起きてすぐに舞に聞いたら
小樽で観光を一通りした後、
帰ろうとしてた時に変な奴にナンパされて
汽車に乗ってもついてこられて
駅に汽車が入ってきた時に
キスされそうになったとか…
マジでありねえ…
舞を一人で行かせたことを後悔した。』

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