車の持ち主は逃げ去り、わたしは暗い夜道にぽつんと一人残されている。

 足首を強くひねってしまったらしくて立ち上がることができない。

「うっ……うっ……」

 さながら芋虫のように地面を這いずって、歩道に逃げ込んだ。