4月―。

真新しい制服を身に纏い、教室に入ってきたのは、本編の主人公、吉岡未散。 


まだ15歳だというのにすでに身長は176センチ。 


そのせいだろうか、普通に歩いているだけなのに、何となくまわりは目を伏せる。 


――私は怪物かよ。 


もう慣れたとはいえやっぱり切ない。 


中2の頃からめきめきと身長は成長し続け、気がついたら校内一のデカ女になっていた。 


そのせいで大半の女子先輩には『ナマイキ』と目を付けられ、後輩の女子や男性陣からは『コワイ』とヒソヒソ言われ続けてきた。 


――デカいのは、私のせいじゃないもん、かってに大きくなっただけだもん…。 


はあ、とため息をついて空いていた席に着く。 


「未散?…よかったぁ、同じクラスだぁ」 


おはよー、と未散に挨拶し、未散の席の前にちょこん、と座ったのは小橋衣。未散の中学からの親友だ。目がまんまるでかわいらしい小さな女の子、という言葉が似合う。


「あぁ、おはよ」 


未散はほっとして衣に挨拶を返した。 


「おはよー」 


「ひゃぁぁぁっ」 


ハイテンションで挨拶し衣の頭をぐしゃぐしゃと撫でるのは並木優太。彼も未散の中学からの部活仲間。 


衣は思わぬ災害に悲鳴を上げた。