お別れは始まり




「香織……っ!」



お母さんの呼ぶ声がしたけど、頭に血が上った私には聞こえなかった。



自分の部屋に閉じこもり、体を布団で覆った。



熱いのは、真夏に布団にくるまっているからだろうか。



それとも、胸が痛くて苦しいからだろうか。



“死ね”


初めて言った言葉だった。


正直、言うのは躊躇った。


親に、言っていいのかって。


ダメだと分かってた。


だけど、私の口はその言葉を放ってしまった。