「ただいま〜。」
「彼方!おかえり!」
「ただいま。また甘えちゃんなの?」
「う〜ん、彼方いい匂いするぅ。」
「ちょっ、嗅がないでよ。」
「彼方の匂いは〜、ストレスゲージがゼロになる」
「優奈、何かあった?」
「…。なんもないよ〜。」
「ほんとに?」
「…で……た」
「ん?何?」
「会社で…嫌なことあった…」
「俺に話せる?」
「うん。あのね、先輩に、もっと残業しろって言われたの。でもね、その先輩はさっさと帰っちゃうの。私に仕事を押し付けて…。」
「それ酷すぎない?」
「うん。彼方、どうしたらいいかな。」
「……よし!優奈明日出勤だよね?」
「うん、そうだよ。」
「俺明日残業ないから、仕事終わったら連絡して。迎えに行くから。」
「迎えに来てくれるの?」
「うん、そして一緒に帰ろう。」
「うん。ありがとう。」
次の日…
「ふぅ、仕事終わりー。あ、彼方に連絡しないと。」
「もしもし。」
「あ、彼方!仕事終わったよ。」
「OK。今行く。」
3分後…
「優奈ちゃん。今日もこれ、お願いね。」
「えっ、あの、これ先輩の仕事ですよn…」
「は?何?別に後輩にやらせるくらいいいじゃん。私はこれから合コンがあるから忙しいの。さっさとやってちょうだい。」
「ふ〜ん。合コンで忙しいんですね。」
「彼方!」
「は?あなた誰ですか?」
「私は、優奈の夫です。このビルの30階で働いています。」
「このビルの30階…て!あの超大手企業の!?」
「まあ、そうですけど。」
「へぇ〜。しかも、すごくイケメンじゃないですかぁ。」
「あの、そんなことを僕に言う前に、優奈に謝ることがあるんじゃないですか?」
「謝ること?そんなものないわよ。」
「今日も自分の仕事を優奈に押し付けて、合コンに行こうとしてましたよね?」
「……。」
「優奈、凄い困ってるんです。昨日そのような相談を受けて、今日は迎えに来ました。」
「ふざけるんじゃないわ!私はただ、彼氏が欲しくて合コンに行きたいだけなのよ!」
「彼氏を見つける前に、仕事を終わらせるべきじゃないですか?その方が女性として、いや、人間として正しいと私は思います。」
「誰がそんなこと決めたのよ!」
「じゃあ聞いてみましょうか。皆さん、ご協力お願いします。仕事を押し付けて合コンに行く人と、仕事を終わらせてから合コンに行く人、どちらが魅力的ですか?」
「分かりきったことだよな。」
「もちろん。」
「それではお聞きします。前者だと言う人〜」
「……。」
「後者だという人〜」
「バッ!!」
「圧倒的後者ですね。分かりますか?」
「何よ。」
「合コンでモテたいなら、まずは仕事を終わらせて下さい。」
「…はい。優奈さん、その仕事、私がやるわ。」
「はい!」
「優奈、帰ろっか。」
「うん!先輩、お疲れ様です。お先に失礼します。」
「…。」
「お騒がせしました。」
「はぁ〜。助かった。彼方ありがとう!」
「お礼を言われることはしてないよ。てか、あの先輩最低だね。」
「う〜ん、本当はいい人なんだけど、最近は彼氏欲しいってボヤいてて、あんな風になっちゃったのかも。」
「そうだったんだ。きっと、先輩も反省してるよ。」
「うん、そうだよね。」
「よし!夜ご飯どうする?」
「お寿司食べたい!」
「今日は特別な。」
「やったー!彼方ありがとう!」
「いいえ。じゃ、行こっか。」
「うん!」