ノワールは「……シャイン、入るよ」と言うと、シャインの部屋のドアを開く。

「……っ!?」

シャインの部屋には誰もおらず、開けられた窓から入ってきた風がノワールの髪を揺らした。

「ん?」

シャインの部屋にある机の上に、1枚の手紙があることに気が付いたノワールは、それに近づく。

「……これ、私宛に……?」

紙の端の方には『ノワールへ』と書かれており、ノワールは紙を手に取ると目を通した。

「あの子……まさか!私たち、2人じゃないと鎮めることなんて出来ないのに……」

ノワールは、手紙を放り投げるように捨てると館を飛び出す。

投げ捨てられた手紙が、風に乗って宙を舞う。


ノワールへ

今から私は、王様を鎮めるためにお城へ向かいます。

昨日、噂で聞きました。王様は、お城の中で暴れているそうですね。

私は、それを止めたい。私の力では、どこまで出来るか分からない。

でも、私は少しでも皆の力になりたい。

ノワール、急に飛び出してごめんね。


そのような内容の書かれた手紙は、開いた窓から外へと飛んでいった。



ノワールは、お城に向かってひたすら走った。

「お城に、光の歌姫がいるらしいぜ……今、お城の中で暴れている王様を止めるんだと」