「……お前なぁ」

「……バス来たよ!」

呆れるように笑った友達に、僕は話題を逸らすように言う。僕は、バス通なんだ。

「はいはい」



「先輩!」

高校2年生になって、僕の通う高校に蓮くんが入学した。僕と所属してる部活は違うけど、同じ学校だって思っただけで嬉しくなる。

「蓮くん……」

部活帰り、友達と歩いてるとバス停で蓮くんが居て、僕は蓮くんに話しかけた。

「蓮くん、部活帰り?」

「違います。僕は、いつもこの時間のバスで帰るようにしてて……」

「そっか……僕、新しくイラスト描いたんだけどさ……」

バスを待ってる間、僕は蓮くんとイラストやゲームの話をする。バスが来て、乗ってもバス停に着くまではたくさんの話をした。

その時間が楽しくて、次の部活の帰りの時間が楽しみになっていたんだ。

蓮くんがいたら話しかけて、席が空いていたら2人で座ってイラストを見せ合って……幸せだな。



高校を卒業して、働き始めて1年。朝起きて携帯を開いた時、蓮くんに僕が送ったメッセージの返事が返ってきてて、僕は誰よりも嬉しかった。

今、振り返ってみれば……きっと僕は蓮くんに恋をしてたんだね。やっと気づくことが出来たよ。