「君の綺麗な黒の髪とお揃いの色のクマもクールでかっこいいよね。目は青色にしたらすごい素敵だと思うんだ
。でも、その黒髪に映える真っ白とか灰色も捨てがたいよね。お姫様みたいに白い毛にしてドレスとか着せたらかわいいんじゃないかな。あ、それとも女の子らしく淡い色のピンクとか黄色とかがいい?結構そういう色も人気だったりすんだよ」
職人のスイッチが入ってしまったのか、男はニコニコとしながらテディベアの語り続けている。
どうやら、この男は花のテディベアを作る気満々になってしまったようだ。花が話したかった事は伝えずらくなってしまった。
それに、どうやらクマのぬいぐるみを川へ投げ捨てたのは花に教えるつもりはないようだった。
花が最後に茶色のクマをジッと見つめた後「帰ります」と告げようとした時だった。
先程男が出てきた扉から、軽快な機械音が流れてきた。
「あ、お風呂がもう少しで沸くみたいだよ。服は俺ので悪いけど、使ってね。さ、こっち」
「だから、いいですから」
「いいからいいから」
言葉は優しいが、やることは強引だ。
また男に手を引かれて、部屋の中へ入れられてしまいそうになる。