オデットの初恋~学校の王子様とニセモノの初恋はじめました~

 悠馬が真っ赤になって、声をあげた。
「だって本当のことだもん。それよりその花束、くれないの?」
 私の言葉に、悠馬はようやく花束の存在を思い出したみたいで、小さく咳払いをしてから、ゆっくりと私に差し出した。
「…るり、すごくよかったよ。まるで…」
 でもそこまで言って言葉につまり、もう一度咳払いをする。
 そしてさっきよりも真っ赤になり、聞き取れないくらい小さな声で、続きの言葉を口にした。
「まるで…、本物の…オデット姫みたいだった」
「悠馬!!」
 私は花束を受け取ることも忘れてしまって悠馬の胸に飛び込んだ。
「わ!る、るり?!」
 そして悠馬にだけ聞こえる声でささやいた。
「悠馬、大好きだよ」
「るり…」
 悠馬の腕が恐る恐る私を包み込む。
 周りの人がちらちらとこちらを見て、クスクスと笑うのも気にならなかった。
 やっと手に入れた私だけの王子様。
 もう絶対に離さないんだから。
 こうやって、私の『白鳥の湖』は幸せなエンディングを迎えた…はずだった。
「るり?」
 悠馬の胸に顔を埋める私を呼ぶ、聞き覚えのある声に、びくっと悠馬の腕がゆれる。
 私はハッと顔を上げた。
 や、やばい、この声は…。
「るり?何をしてるんだ?」
 そしてゆっくりと振り返る。
 やっぱり…。
 お父さんだ!!