「悠馬、こうやって傘を持ってきてくれたりするのは本当にありがたいんだけど、やっぱりもうこういうのはやめ…あ、あれ、悠馬?」
悠馬はいつのまにかひらひらと手をふって、廊下を一年生の教室の方へ歩いてゆく。
私は頬を膨らませた。
いつもそうだ。
私が真剣にやめてほしいとお願いしようとしても聞こえないフリをする。
私は大きなため息をついた。そしてとぼとぼと教室へ戻る廊下を歩き始めた。
教室へ戻ると、まだほとんどのクラスメイトが残っていた。いつもだったら授業が終わったらさっさと帰ってしまうはずの、ちょっと派手なグループの女の子たちもまだいる。
そのことに嫌な予感を感じながら私は、さっちゃんが待つ自分の席へ戻った。
「王子と一緒に帰るなら、私は遠慮するよ」
「一緒なんて帰らないよ」
そして大急ぎで日誌を仕上げていく。なんだか教室中の人にじろじろ見られているような気がして、とにかく早くうちへ帰りたかった。
でもやっとのことで日誌を書き終えて、さっちゃんと教室を出ようとしたその時「神谷さん」と呼びかけられてしまった。
振り向くと、そこにいるのは三人のクラスメイト。
クラスの中では可愛くておしゃれなので知られている三人だ。その真ん中でふわりとさせた長い髪の先をいじりながら微笑んでいるのは、クラスどころか学年一可愛いって言われている森夏美ちゃんだ。
少し前には高校生の彼氏がいるって噂になっていた。たしかにそれでも納得ってくらい可愛いんだけど、それとは反対に実は超気が強いっていうのも知られている。主に女子の間で。
私がもっとも距離をおきたいタイプの女の子だ。
呼び止められて私はごくりと喉を鳴らした。
「何?」
悠馬はいつのまにかひらひらと手をふって、廊下を一年生の教室の方へ歩いてゆく。
私は頬を膨らませた。
いつもそうだ。
私が真剣にやめてほしいとお願いしようとしても聞こえないフリをする。
私は大きなため息をついた。そしてとぼとぼと教室へ戻る廊下を歩き始めた。
教室へ戻ると、まだほとんどのクラスメイトが残っていた。いつもだったら授業が終わったらさっさと帰ってしまうはずの、ちょっと派手なグループの女の子たちもまだいる。
そのことに嫌な予感を感じながら私は、さっちゃんが待つ自分の席へ戻った。
「王子と一緒に帰るなら、私は遠慮するよ」
「一緒なんて帰らないよ」
そして大急ぎで日誌を仕上げていく。なんだか教室中の人にじろじろ見られているような気がして、とにかく早くうちへ帰りたかった。
でもやっとのことで日誌を書き終えて、さっちゃんと教室を出ようとしたその時「神谷さん」と呼びかけられてしまった。
振り向くと、そこにいるのは三人のクラスメイト。
クラスの中では可愛くておしゃれなので知られている三人だ。その真ん中でふわりとさせた長い髪の先をいじりながら微笑んでいるのは、クラスどころか学年一可愛いって言われている森夏美ちゃんだ。
少し前には高校生の彼氏がいるって噂になっていた。たしかにそれでも納得ってくらい可愛いんだけど、それとは反対に実は超気が強いっていうのも知られている。主に女子の間で。
私がもっとも距離をおきたいタイプの女の子だ。
呼び止められて私はごくりと喉を鳴らした。
「何?」


