次の日は、ひどい雨だった。
 私は浮かない気分のまま、一日を過ごした。
 さっちゃんにはあらかじめ電話で事情を話しておいた。昨日の話がどのくらいの速さで森さんの耳まで届くのかはわからない。でも届いたらきっと知らんぷりはしてくれないだろう。さっちゃんに迷惑にならなければいいけど…。
 話を聞いたさっちゃんは、気合い十分だった。
「とにかく、るりは絶対に一人になったらダメだよ。いつ何時やつらにねらわれるかわかったもんじゃない」
 でもそんなふうに少し警戒していたのは私だけで日中はほとんど普通通りにすぎた。
 移動教室の時に一年生の女の子たちがヒソヒソ話をしながらこっちを見ているような気がしたけど、直接何か言われることはなかった。
 そうして一日無事に終わると思った頃に事件は起こった。
 さっちゃんに絶対に一人になるなと言われていた私だけど、気がゆるんでいたのかもしれない。掃除のあと一人でゴミ捨てに行ったんだ。
 ゴミ捨て場は校舎の裏にあって人気がない。雨が少し小ぶりになったのをいいことに私は傘をささないでゴミ捨て場に走る。そしてそこへごみを捨てて、さぁ戻ろうと振り向いたとき、教室までの帰り道はふさがれていた。
 怖い顔をして傘をさして立っている森さんだった。
 森さんの後ろにはいつものクラスメイトが二人。それから、昨日クリスタルロードで会った一年生の三人もいた。
 しまった!と私は思った。
 油断した…。