大丈夫かな、私…。
 悠馬が思い出したように口を開いた。。
「そういえばサッカー部の先輩が言ってたよ。るりが最近かわいいって二年の男子の間で評判になってるって」
「え!?そうなの?」
「うん。今までは目立たなかったからみんな知らなかったけど、よく見たらかわいいって話題になってるんだよ」
 知らなかった…。
 今までは私女子の中で目立たないようにってそればっかりだったから、はっきりいって男子は眼中になかった。
 だから自分がそうやって言われるようになるなんて思いもしなかったな。
 悠馬がちょっとすねたみたいに言う。
「るりがメガネをやめたのは俺賛成だよ。るりが学校でもるりらしくいられるならその方がいいし。でもそのせいで男の中で噂になるのはちょっとな…」
「?…なにがダメなの?」
 私は首を傾げた。
 悠馬が有名人だから私まで目立ってしまったら、この付き合いがバレちゃうから?
 悠馬が私をじろりと見た。
「当たり前だろ。るりは俺の彼女なんだから」
「え!」
 私はまたびっくりして大きな声を出してしまう。
 悠馬が口を尖らせた。
「なんだよ、間違ってないだろ」
 たしかにそれはそうだけど…。
 つまりはそれって、やきもちを焼いてるってこと?
「告白してみようかなーとか言ってる先輩もいたんだぜ。俺、るりは俺の彼女だからやめて下さいって…」
「言っちゃったの!?」
「言ってないよ。でも言いたかった!って話!」
 そう言って悠馬は頬をふくらませる。
 私はホッと息をはいて、ふくれっ面の悠馬を不思議な気持ちで見つめた。
 それってやっぱり私をその先輩にとられたくないってことだよね?そんなふうに思ってくれるなんて、悠馬は私をちゃんとした彼女としてみてくれてるの?
 でも他に好きな人がいるのにそんなこと思うかな?
 好きな人は別にいるけど、彼女としての私も他の人にとられたくないって?
 うーん。ありえなくはないような…。
「るり、るーり!」
 ちょっとわからなくなって考えこんでしまった私を不思議そうに悠馬が見ている。
 私が知りたい答えは目の前の彼が知っているのに、今すぐに聞くことだってできるのに、やっぱり私にはそれができなかった。
「な、なんでもない。誰か知らないけど、きっと気まぐれで言ったんだよ。気にしない気にしない!ほら、映画始まっちゃうよ、行こう!」
 あーあ、恋って本当に、フクザツ…。

 映画は予想以上に面白かった。お互いに好きなのに、くっついたり離れたり、それから誤解しあったり…。
 側から見てたら答えなんて一つのように思えるのに映画の中の主人公には悩んでも悩んでもわからないみたいだった。途中気持ちがすれ違って別れちゃうシーンでは、私感情移入しすぎちゃって、映画の中に入っていってアドバイスしたいくらいだった。