ある朝のことだった。
いつものように登校をして教室へ入ると、なんだか教室が騒がしい。
よく見ると、森さんを中心にクラスの半分くらいの女子が後ろの方で固まって、あれやこれやと大きな声で話をしている。
私はそれを不思議に思いながら自分の席へ着いた。
「えー!でも今までそんな話なかったじゃない!なんで急にそんなこと言いだしたんだろ?」
「わかんない。でも私はっきりと聞いたよ」
「適当に言ったんじゃない?」
「王子がそんないい加減なこと言うかなぁ?」
女の子達の口から出た"王子"の言葉に、私の胸がどきりと鳴った。
みんな悠馬の話をしてるの?
鞄の中身を出そうとしたまま固まってしまった私にいつのまにか近くに来ていたさっちゃんが、言った。
「おはよう、るり。朝から大変なことになってるよ」
「おはよう、さっちゃん。…何があったの?」
さっちゃんが私に顔を近づけた。
「森さんが昨日王子に告白したらしいの」
「え?!」
驚いて、私の口から少し大きな声が出てしまう。でももともと騒がしい教室では誰も気に留めなかった。
それにしても、昨日も私は悠馬に会ったけど、そんなことは一言も言ってなかった。
「森さん、他に好きな人がいてもいいからつきあってほしいって言ったんだって。ほら、もうすぐ夏休みでしょ?その間に、絶対に自分を好きにさせてみせるって」
さっちゃんは、私にだけ聞こえる小さな声でささやいた。私は目を見開いて女の子達の中心にいる森さんを見る。
今日はふわふわの髪をツインテールにして唇にはキラキラのリップグロス。先生に注意を受けるギリギリのところでかわいくしている彼女はさすがだとは思うけど、それにしてもすごい自信。
絶対に好きにさせるなんて、私には口が裂けても言えないな…。
さっちゃんがくすりと笑った。
「ほんとすごい自信だよね。そしたらさ、なんと王子が、そうじゃなくてつきあってる人がいるからつきあえないんだって、はっきり言ったらしい。それで朝から大騒ぎしてるってわけ。彼女いないっていう話はなんだったの!?って」
そう言ってさっちゃんはくすくすと笑っている。
一方で私はというと、びっくりして何も言えなくなってしまった。
悠馬、どうしてそんなこと言っちゃったの!?
たしかに擬似体験のためとはいえ、私とつきあっているんだから、さらに森さんとつきあうわけにはいかないよね。だから悠馬の言うことは何も間違っていないけど、でも悠馬は学校では有名人なんだから、そんなこと言ったら大騒ぎになっちゃうよ!
森さんたちは、さらにヒートアップしてあれやこれやと話を続ける。
「私、頭にきちゃって、それって前から言ってた好きな人?誰なの?って問いつめたの。同じ学校の人ならどんな人が見に行ってやろうと思って」
森さんの言葉に私の背中がぞくぞくとする。
こ、怖すぎる…。
「王子、答えてくれた?」
女の子達の視線が森さんに集中した。私はもう祈るような気持ちでそれを聞いていた。まさか悠馬、本当のことを言ったりしてないよね?
いつものように登校をして教室へ入ると、なんだか教室が騒がしい。
よく見ると、森さんを中心にクラスの半分くらいの女子が後ろの方で固まって、あれやこれやと大きな声で話をしている。
私はそれを不思議に思いながら自分の席へ着いた。
「えー!でも今までそんな話なかったじゃない!なんで急にそんなこと言いだしたんだろ?」
「わかんない。でも私はっきりと聞いたよ」
「適当に言ったんじゃない?」
「王子がそんないい加減なこと言うかなぁ?」
女の子達の口から出た"王子"の言葉に、私の胸がどきりと鳴った。
みんな悠馬の話をしてるの?
鞄の中身を出そうとしたまま固まってしまった私にいつのまにか近くに来ていたさっちゃんが、言った。
「おはよう、るり。朝から大変なことになってるよ」
「おはよう、さっちゃん。…何があったの?」
さっちゃんが私に顔を近づけた。
「森さんが昨日王子に告白したらしいの」
「え?!」
驚いて、私の口から少し大きな声が出てしまう。でももともと騒がしい教室では誰も気に留めなかった。
それにしても、昨日も私は悠馬に会ったけど、そんなことは一言も言ってなかった。
「森さん、他に好きな人がいてもいいからつきあってほしいって言ったんだって。ほら、もうすぐ夏休みでしょ?その間に、絶対に自分を好きにさせてみせるって」
さっちゃんは、私にだけ聞こえる小さな声でささやいた。私は目を見開いて女の子達の中心にいる森さんを見る。
今日はふわふわの髪をツインテールにして唇にはキラキラのリップグロス。先生に注意を受けるギリギリのところでかわいくしている彼女はさすがだとは思うけど、それにしてもすごい自信。
絶対に好きにさせるなんて、私には口が裂けても言えないな…。
さっちゃんがくすりと笑った。
「ほんとすごい自信だよね。そしたらさ、なんと王子が、そうじゃなくてつきあってる人がいるからつきあえないんだって、はっきり言ったらしい。それで朝から大騒ぎしてるってわけ。彼女いないっていう話はなんだったの!?って」
そう言ってさっちゃんはくすくすと笑っている。
一方で私はというと、びっくりして何も言えなくなってしまった。
悠馬、どうしてそんなこと言っちゃったの!?
たしかに擬似体験のためとはいえ、私とつきあっているんだから、さらに森さんとつきあうわけにはいかないよね。だから悠馬の言うことは何も間違っていないけど、でも悠馬は学校では有名人なんだから、そんなこと言ったら大騒ぎになっちゃうよ!
森さんたちは、さらにヒートアップしてあれやこれやと話を続ける。
「私、頭にきちゃって、それって前から言ってた好きな人?誰なの?って問いつめたの。同じ学校の人ならどんな人が見に行ってやろうと思って」
森さんの言葉に私の背中がぞくぞくとする。
こ、怖すぎる…。
「王子、答えてくれた?」
女の子達の視線が森さんに集中した。私はもう祈るような気持ちでそれを聞いていた。まさか悠馬、本当のことを言ったりしてないよね?