映画を見た後、私達はフードコートへ向かう。途中通りかかったゲームセンターで私は足を止めた。
「悠馬あれ」
指さす先にはある人気キャラクターのカードゲーム機。何年か前まで、悠馬と健二が夢中になっていたゲームだった。
「あれ、やらなくていいの?」
そのゲームはいつも行く大型スーパーにも置いてあったから、二人はいつもお小遣いがなくなるまでやっていた。
悠馬がまた笑い出した。
「やらないよ!もう何年たつと思ってるんだよ。健二ももうやってないだろ?」
そうかな。
健二とも一緒に出かけるなんてことなくなったから、よくわからない。
あいつのことだから、あいかわらずやってそうな気もするけど。
そうか、もう悠馬はやらないのかと思って視線を移すと私の好きなバナナのキャラクター『バナナん』のクレーンゲームが目についた。
「あ!」
「なに」
「あれかわいい!ほしいなぁ」
でも私も健二もクレーンゲームは壊滅的にへたっぴで一度だって取れたためしがない。
「クレーンゲームにだけあるデザインってあるよねぇ。健二ってば、ゲームばっかやってるくせにあぁいうのは苦手なんだよ?」
悠馬が「知ってる」と言って笑い出した。そしてそっちに向かって歩き出した。
「やってみようか」
私は慌てて後を追う。
「悠馬、いいよ」
はっきり言って私からしてみればお金の無駄。もう取れないものとしてあきらめている。
だからこそ、言ったのに。
でも悠馬は先に行ってゲームの中をじっと見ている。そして振り返って、「こういうのはコツがあるんだよ」と言った。
そしてお金を入れて山積みになったバナナんのある場所にクレーンを引っ掛けるとそのうちの一つがコロコロと転がって、取り出し口へポトンと落ちた。
「すごーい!!」
私は飛び上がってしまう。
「一回で取れちゃうなんて!悠馬天才じゃん」
「こういう小さいのならそんなには難しくないよ。あぁいう大きいのなら無理だけど」
ちょっとだけ、照れたように言って悠馬は私の手にバナナんを握らせた。
「もらっていいの?」
「いいに決まってるだろ。るりのために取ったんだから」
手のひらサイズのバナナんはキョトンとした目で私を見ている。なんのへんてつもないそのぬいぐるみがなんだか宝物のように思えて、私はそれをギュッと握った。
「悠馬あれ」
指さす先にはある人気キャラクターのカードゲーム機。何年か前まで、悠馬と健二が夢中になっていたゲームだった。
「あれ、やらなくていいの?」
そのゲームはいつも行く大型スーパーにも置いてあったから、二人はいつもお小遣いがなくなるまでやっていた。
悠馬がまた笑い出した。
「やらないよ!もう何年たつと思ってるんだよ。健二ももうやってないだろ?」
そうかな。
健二とも一緒に出かけるなんてことなくなったから、よくわからない。
あいつのことだから、あいかわらずやってそうな気もするけど。
そうか、もう悠馬はやらないのかと思って視線を移すと私の好きなバナナのキャラクター『バナナん』のクレーンゲームが目についた。
「あ!」
「なに」
「あれかわいい!ほしいなぁ」
でも私も健二もクレーンゲームは壊滅的にへたっぴで一度だって取れたためしがない。
「クレーンゲームにだけあるデザインってあるよねぇ。健二ってば、ゲームばっかやってるくせにあぁいうのは苦手なんだよ?」
悠馬が「知ってる」と言って笑い出した。そしてそっちに向かって歩き出した。
「やってみようか」
私は慌てて後を追う。
「悠馬、いいよ」
はっきり言って私からしてみればお金の無駄。もう取れないものとしてあきらめている。
だからこそ、言ったのに。
でも悠馬は先に行ってゲームの中をじっと見ている。そして振り返って、「こういうのはコツがあるんだよ」と言った。
そしてお金を入れて山積みになったバナナんのある場所にクレーンを引っ掛けるとそのうちの一つがコロコロと転がって、取り出し口へポトンと落ちた。
「すごーい!!」
私は飛び上がってしまう。
「一回で取れちゃうなんて!悠馬天才じゃん」
「こういう小さいのならそんなには難しくないよ。あぁいう大きいのなら無理だけど」
ちょっとだけ、照れたように言って悠馬は私の手にバナナんを握らせた。
「もらっていいの?」
「いいに決まってるだろ。るりのために取ったんだから」
手のひらサイズのバナナんはキョトンとした目で私を見ている。なんのへんてつもないそのぬいぐるみがなんだか宝物のように思えて、私はそれをギュッと握った。