ご飯食べてる時までは楽しかったのにな...。
蒼「紫乃、ほんとにごめん。」
朱生が出ていったリビングで、蒼太に謝られた。
『は、...なんで蒼太が謝るの。』
自分でも驚くほど、ショックを受けてることに言葉を発した時に震えた唇でようやく気づく。
蒼「...俺が余計なこと言ったから。」
『それこそこっちのセリフだよ。
兄弟の話に口挟んで、朱生を傷付けたよね...
ごめんなさい。』
あの時の、絶望が貼り付いたような朱生の顔が頭から離れない。
蒼「...朱生が、言っとこと気にしてる...よね?」
『...――っ』
姉じゃない。
確かにそうだ。
姉貴面して、ウザかったのかな。
見守ってきた、なんて思い上がりだったのかもしれない。
長い時間を一緒に過ごしてきたから、
家族のように思ってきた。
『...少し、ショックだった。
けど!朱生も微妙な年頃だし、ウザかったのかもね!私が無神経だった。
朱生は悪くないよ。』
そう、精一杯の強がりで笑う。
蒼「...紫乃、」
『そう、た...』
抱き締められていると気付いたのと、
堪えていた涙が溢れたのはほぼ同時だった。
蒼「...ごめんね。
俺たち兄弟には紫乃が必要だよ。
絶対、それはこれからも変わらない。」
『...もう、
あんな風に3人で過ごせない、のかな...っ』
蒼太が大好きで、
朱生が大切で、
それはこれからも変わらないのに...。
蒼「...そんなことないよ。
いなくなったりなんかしないんだから。」
『...う、ん』
背中を擦る蒼太の温度が心地よくて、
少しずつ涙は乾いていった。
