「リョーちゃん
ピアスありがと」
「うん…
記念日、一緒にいれなくて、ごめん…」
「リョーちゃんにつけてもらおうと思って
まだしてないんだ」
仕事のバッグからピアスの箱を出した
「いつもそこに入れてんの?」
「うん、嬉しくていつも持ち歩いてたよ
リョーちゃん、つけて!」
リョーちゃんに箱を渡した
私の左耳にリョーちゃんが触れた
リョーちゃんが近くなった
ドキン…
右耳にリョーちゃんが触れた
ドキドキ…
ドキドキ…
久しぶりリョーちゃんにドキドキした
リョーちゃんがカッコよくて
見惚れた
「ハイ…つけたよ
…
イト…かわいい…」
「似合う?」
「ピアス、見てなかった
…
何もなくても
イトはかわいい」
私もリョーちゃんしか見えない
視界いっぱいにリョーちゃんがいる
リョーちゃんが近くにいる
「リョーちゃん…好きだよ」
やっぱり言ってしまった
世界一
リョーちゃんが好き
世界一
リョーちゃんの近くに行きたい
リョーちゃんの腕が
優しく私を抱きしめてくれた
ドキ…
ドキ…
ドキ…
リョーちゃんの鼓動が聞こえる
リョーちゃんの体温を感じる
リョーちゃんの匂い
電話だと感じることができない
胸の音も
体温も
匂いも
全部心地いい
愛してる人が
すぐ近くにいる
「リョーちゃん
また日本にいれるの?」
リョーちゃんの胸に抱かれたまま聞いた
「…や…ごめん…
すぐ帰る
…
明日の飛行機で帰る予定」
リョーちゃんの胸がそう言った
またリョーちゃんが遠く感じた
「そーなんだ…」
少し期待したのに…
また行っちゃうんだ
今度はどれくらい帰って来ないのかな?
「リョーちゃん
私ね、リョーちゃんに会いたくて…
…
会いたくてね…
…
飛行機のチケット取ろうと思ってたんだ」
「それで、スーツケース出てたんだ」
「うん…
リョーちゃんのところ、行こうと思ってた」
「いつ?」
「来月、1週間休み取るの」
「…」
リョーちゃんの胸から返事がなかった
リョーちゃん?
やっぱり迷惑だったかな?
「仕事忙しいのに
私の相手なんかしてる場合じゃないよね」
リョーちゃんの息を飲む音が聞こえた
やっぱり私は
ここで待ってるしかないの?
「イト…
1週間じゃなくてさ
ずっと一緒にいたい
…
まだ無理だったら、待ってる
…
イト…
オレについて来てほしい」
リョーちゃんに
ついて?
ずっと一緒に?



