ロミオは、愛を奏でる。


「リョーちゃん…なんで…?」



さっきの雑音に変わって

心臓がバクバクいった


それから

その奥がギューッてなった



「会いたかったから…イトに…」



目の奥が熱くなる



「…」



気持ちが言葉にならなかった



「イトは、会いたくなかった?」



「…」



ビックリしすぎて上手く呼吸できない



「イト、喜んでくれると思ったんだけどな…」



「…」



嬉しくて泣きそう



「なんか…ごめん…

急に帰って来て…

イト、予定あった?」



「…」



駅から家までの道

今日は影がふたつあった



リョーちゃんとふたり並んで歩いてる



震える手をリョーちゃんが繋いでくれた



隣でリョーちゃんが

ずっと話してくれてるのに

胸がいっぱいで何も言えなかった



言葉を発したら溢れる



「買い物は?

イト、なんか買うんじゃなかった?

オレも一緒に行こうか?」



「…」



会いたかった人に会えたのに…



「あ…邪魔だった?オレ…」



「…」



大好きな人が隣にいるのに…



「イト?

ごめん…怒ってる?」



家の近くまで来てリョーちゃんの足が止まった



またリョーちゃんに「ごめん」て言わせた



違う

怒ってなんかない



「…リョーちゃん…

…会いたかった…

会いたかったよ
いなくなってすぐ…

リョーちゃんに、会いたくなった…

ずっと、リョーちゃんに会いたかった」



リョーちゃんの優しくて大きな手が

私の頬に触れるのと

私の涙が頬に伝うのは

どっちが先だったかな?



リョーちゃんの手に伝った涙は

リョーちゃんに抱きしめられて

リョーちゃんの胸に伝った



ごめんね

リョーちゃん

Yシャツ汚しちゃう