ロミオは、愛を奏でる。


「リョーちゃん
目、閉じてみて…」



「目…?」



「うん…目…閉じた…?」



「うん…閉じた…

なに?なんかのおまじない?」



「リョーちゃん…

キスして…」



「…ん?…イト?…どーした?」



「リョーちゃん…

会いたいよ…

キスしたいよ…」



「うん…ごめん…イト…」



「リョーちゃん、謝らないで…

キスして…」



「うん…

イト…好きだよ…愛してる」







「リョーちゃん…大好き…
ずっと、好き…」



「イト…

抱きしめていい?」



「うん…抱きしめて…」







目蓋に映るリョーちゃんは

優しくキスして

両手で私を抱きしめてくれた



「リョーちゃん…

もっと強く抱きしめて…」



「イト…愛してる」



リョーちゃんの声は優しくて

いつもと変わらない



なのに

リョーちゃんの温もりも匂いも感じない



愛してる



リョーちゃんの声が届いた耳が

寂しくなった