「…リョーちゃん…」
耳元で微かに聴こえるイトの声
ブラインドの向こうが
少し明るくなってきてた
「…ん?…起きた?イト」
「…うん…」
オレも寝たかな…
ずっと腕の中のイトが気になって
深く眠りにつけなかった
可愛くて
愛おしくて
ずっとこうしてたいと思った
「リョーちゃん…嬉しかった」
「…なに?」
「リョーちゃんの彼女になれて…
リョーちゃんと、こーなれたこと…」
腕の中のイトをきつく抱きしめた
イト、かわいすぎる
「あのね…
昨日、私…初めてだった」
こーなれた?
初めて?
とは…???
あー…
「イト、彼氏いたんだろ」
「うん、いたけど…できなかった
…
ホントに好きな人と…って思ってたから…
…
ホントは
初めてのキスも
リョーちゃんがよかったな…」
イトが健気で愛らしかった
そんなふうに思ってくれて
ありがと
「あのさ…イト…」
「ん?」
言いにくいけど…
「…昨日してないから…」
「…え?」
「イト、オマエ寝ただろ」
「ウソ?」
「や、こっちが聞きたい」
なんであのタイミング?
愛撫してる途中
イトを見たら寝てた
身体が熱かったのは
火照っててたからじゃなくて
眠かったのか?
「…恥ずかしい…」
「や…オレも恥ずかしいけど…」
自分が恥ずかしくなった
初めては大好きな人と…
一途にオレを想い続けてくれてたイト
不倫とか疑ってたオレ
ずっとイトが好きでいてくれた事に
気付かなかったオレ
久しぶりでかなりしたかったオレ
殴りたくなった
「ごめん…リョーちゃん
…
しかも、私、初めてとか…ひいた?」
ひくわけない
イトの気持ちが嬉しかった
「ぜんぜん…
もっと好きになった
…
イト、ありがと…
そんなにオレのこと想っててくれて
オレ、嬉しいよ
…
オレはさ
イトを最後にできたらいいって思ってる
…
最後に愛する人はイトがいい
…
イトが今まで
オレのこと好きでいてくれた年月より
10年…20年…
イトが想っててくれてた以上に
今度はオレがイトを愛するから…
…
足りなかったら来世まででも
イトを想い続けたい」
イトがホントに嬉しそうな顔をした
嘘でもゲームでもなくて
本気でオレそぉ思ってるよ
「リョーちゃん…」
ーーー
イトからキスしてきた
ドクン…
「イト…する?」
「ん…?」
「初めて…」
「ん?…今?」
「うん」
ブラインドから外の光が漏れて
イトがキラキラした
イト
綺麗
あ…今日ユートのとこ行くんだった
ユートの顔が過ぎった
「あー、やっぱまた今度!」
「リョーちゃん?どーしたの?」
「朝だし、朝からよくないから…」
「リョーちゃん…
私、魅力ないかな…?」
「そんなことないよ」
オレ久々で
すげー我慢してるけど…
昨日触れたイトは
魅力がないとかじゃなくて…
オマエが寝てたからだろ!←原因コレ!
オレはその後
寝れなかった
「ホントに?」
「ホントに
イト、綺麗だよ」
今も我慢してるから
「次は、寝ないね!」
イトが無邪気に笑った
かわいいから許す
ーーー



