ロミオは、愛を奏でる。


カツ…カツ…カツ…カツ…



マンションのエントランスに

イトのヒールの音が響いた



1年前より慣れたのかな?

ヒール



足が痛いって泣いたイトを思い出した



「リョーちゃん、いいマンションだね」



「ここから職場まで徒歩10分ぐらいなんだ」



話しながらエレベーターに乗った



「そーなんだ
今日、いきなり来ても大丈夫だった?」



イトが来たいって言ったくせに、今更…



「まだ引っ越しの整理ができてなくて
ダンボールいっぱいあるけどね」



「リョーちゃん、ホントに日本にいるんだね」



ふたりだけの空間

イトが笑った



イトは

オレに会いたかった?



エレベーターに表示される数字が

オレのバロメーターみたいに

上に上がるほど

心拍数が上がった