ロミオは、愛を奏でる。


「イト?疲れた?」



寂しくて無言になった

リョーちゃんに悟られた



「んーん…大丈夫…
ちょっと、足が痛かっただけ…」



お兄ちゃんの家行くだけなのに

無駄にヒール履いてきたから



大人ぶって背伸びして履いたって

どーせリョーちゃんには子供にしか映ってない



「帰ったら、イトの家行ってもいい?
それともオレの家来る?
ビールあるよ」



リョーちゃんの誘いなのに

気分が乗らなかった



「ごめん、リョーちゃん
このあと約束があって…」



「友達と?」



「んー、会社の上司…」



「へー…休みの日に会うって、なんか…
もしかして、男?」



「うん、でも、全然そんなんじゃなくて…
最近、よく誘われてたから…

リョーちゃん帰って来るの知ってたら
約束してなかったのに…」



なんだろう

この言い訳



別に何もないし

リョーちゃんだって

別に気にしてないのに



「気を付けて行って来いよ
なんかあったら連絡しろよ
迎え行くから…」



また子供扱い?



なんかあったら…って

何もないよ